店舗を構えた経営をするのであれば、業種に関係なく「商圏」を意識する必要があります。商圏を把握していなければ、適切なマーケティングが進められないでしょう。

今回は、商圏についての基本的な知識とともに、商圏分析の目的や決め方について解説していきます。

商圏とは？

商圏とは「店舗に足を運んでくれる顧客が暮らしている範囲」のことを指しています。消費者が実店舗に来店するためには、物理的な限界があるのです。

商圏の把握は店舗ビジネスの基本であり、新しく店舗を構える場合には、商圏分析をした上で店舗の立地を考えるべきでしょう。

一般的な商圏の設定方法

商圏は一般的に、店舗を中心として「半径○km」で表示されることが多いです。この範囲は顧客の移動手段によって大きく変わってきます。

電車や徒歩での移動が中心となる都市部・車移動が中心となる郊外では商圏範囲の設定方法が違うということです。

商圏の範囲はさらに、来店目的・頻度・時間帯の影響も受けるでしょう。例えば「この店舗でしか手に入らない商品」と「どこの店舗でも購入可能な商品」では、顧客が移動する範囲の限界も変わります。

また、距離ではなく移動時間で商圏を表す場合もあります。都市部で駅近くに店舗を構えているのなら、移動時間で商圏を考えることで、その範囲が大きく広げられるのです。

商圏範囲には業種ごとに目安がある

業種によって商圏範囲の目安は変わってきます。商圏範囲の目安は下記の通りです。
・コンビニ：〜500m
・飲食店：〜500m
・大型小売店：10 ~20km
・ドラッグストア：2〜5km
先ほどもお伝えしたように、顧客の移動手段によって商圏範囲は変わってくるため、これらはあくまで目安値だと考えておきましょう。

商圏分析の目的とは？

商圏分析は、次のような目的を持って実施されます。

販促エリアを確定するため

商圏が明らかになっていなければ、どの範囲までチラシやポスティングを使った営業活動を行えば良いかが分かりません。

店舗から遠く離れた商圏外のエリアに営業活動を仕掛けても、期待する効果は得られないでしょう。実施する営業活動で期待以上の効果を得るためには、適切な商圏分析を行う必要があるのです。つまり、商圏エリアは販促エリアだと考えれば良いでしょう。

売上予測するため

ビジネスを始める前には、必ず今後の売上予測をしなければいけません。商圏分析を行ってエリアの既存店を調査すれば、精度の高い売上予測ができるでしょう。

今では商圏分析が行えるデジタルツールも多く、候補物件を入力するだけで、周辺の人口や世帯数が自動的に集計されます。商圏分析をすることで、より正確な売上予測が行えるのです。

顧客分布を可視化するため

実際に営業活動を進めていると、商圏の中で自店舗が強いエリア・弱いエリアが明らかになってきます。商圏をエリアごとに分けて顧客分布を可視化すれば、その理由や行うべき対策が分かってくるでしょう。

商圏範囲の決め方とは？

ここからは、実際に商圏を決める方法について紹介しましょう。商圏を決める方法は大きく分けて2パターン存在します。どちらか片方ではなく、両方の分析が行えると良いでしょう。

データ分析

商圏分析ソフトなどのデジタルツールを利用し、高税調査データに基づいた商圏分析を行えば、購入予定の候補物件周辺の世帯数・人口・住民の年齢層・性別が把握できます。

誤った商圏に店舗を構えてしまわないようにするために、非常に有力な商圏分析方法だと言えるでしょう。時間や労力をかけずに商圏分析を行えます。

実地調査

候補物件周辺を実際に歩いて実施調査を行います。地図で街の状況を把握し、ターゲット顧客が集まる場所や競合店を調査すれば、物件が店舗に適した立地なのかが分かるでしょう。

実地調査は時間帯・曜日を分けて複数回実施することで、そのエリアの時間別・曜日別の特徴が見えてきます。

例えば平日ランチはビジネスマンが多いものの、土日の人流は少ない・平日の人流よりも土日の方が多くの来客が見込めるなど、店舗の運営に欠かせない情報が手に入るのです。

同時に近隣の競合店を調査し、候補物件で他社とどう競うべきかを決めていくべきでしょう。

まとめ：商圏とは？商圏分析の目的や決め方について解説！

いかがでしたか？商圏とは、
・店舗経営で重視される集客の物理的範囲のこと
・商圏は業種によって範囲の目安が変わる
・商圏は顧客の移動手段によって範囲が変わる
商圏を把握していなければ、アプローチするべき顧客の範囲が分からず、効率の良い営業活動が行えなくなってしまうでしょう。

自社がターゲットとする顧客層を見極め、適切な商圏分析ができるようにしてください。